バンクシー作品の価格予想と推移

2023年 バンクシー作品の価格予想!2023年以降 Banksy作品はどうなるのか?

2022年のバンクシー作品の価格は2021年に比べ、さらに勢いを失った。バンクシーのオリジナル作品がこれまで以上の高額で落札されることも少なかった。

そして、シルクスクリーン作品の価格も2020〜2021年に高騰しすぎた分、大幅に調整した。去年(2022)は米国、欧州で過去40年で最高のインフレやウクライナ戦争、中国のゼロコロナ政策などのサプライチェーンリスクの影響もあってか世界的に株価が大幅に下がった。

特に過去40年間最高のインフレが原因なのか、資金繰りに困ったコレクターがバンクシー作品を手放す機会が大幅に増えた。

さて、ここからは2022年に起こったことを振り返りながら、2023年のバンクシー作品の価格がどうなるか予想していこう。

沈黙が続いた2022年最初の10カ月

バンクシーは新作を発表する時、フォロワー1100万人を越える公式インスタで発表する。でも、2022年11月までの10ヶ月間一度も更新がなかった。

しかし、11月に入ってやっと新しい投稿があった。

ウクライナ戦争で爆撃された壁に2022年最初の作品を残す

11月11日、バンクシーは自身の公式インスタグラムに2022年最初の作品を投稿。描かれたのは瓦礫の上で逆立ちする新体操選手。この作品が残されたのはウクライナ戦争で爆撃を受けた「ボロジャンカ」という街。ボロジャンカは首都キーウ近郊の街だ。

さらに詳しくはこちらの記事から→バンクシーはウクライナで爆撃されたビルの壁に2022年初の新作をボム。

合計7つの新作をウクライナに残し、制作映像をインスタに公開。

次に1週間後の11月18日。バンクシーは自身の公式インスタでまた新しい作品を投稿。実は、ウクライナで合計7作品を制作していたことが明らかに。そして、ウクライナに残した合計7作品とその制作映像を公開。 

こちらの画像がその7作品のうちの一つだ。

首にコルセットを巻いた新体操選手

7作品の中には柔道でプーチン?を投げ飛ばす少年。また、首にコルセットを巻いた新体操の少女。戦争に使われる金属をシーソーに見立てて遊ぶ子供達。爆撃を受けた後の市民や戦争の中でも生きるウクライナ市民を描いた作品を残している。

実際の作品の映像は観たい方はこちらをクリック。

バンクシー GUESSに激怒し インスタでファンに万引きを要請?

そして、次の日の11月19日、バンクシーはウクライナとは関係ない衝撃的な内容を公式インスタに投稿。法的問題があったのか、バンクシーのインスタグラムからは既に投稿内容は削除されている。

削除された投稿のコメントがこちら。

すべての万引き犯へ。リージェントストリートのGUESS(ゲス)に行ってほしい。GUESSは僕の承諾なしに僕の作品を勝手に盗んだ。なら、GUESSの服を盗むことの何が悪いのだろうか?

アメリカのファッションブランド「GUESS」はバンクシーの許可なしに服に作品をプリント。そして、その服をロンドンの旗艦店のショーウィンドウで展示。さらに、作品をプリントした商品を販売。

これに対して、バンクシーが怒り、上のような声明を出すに至った。

なぜこんな問題が起こったかのか?それは、バンクシーは2019年からFull Color Blackという会社とずっと裁判をしている。そして、バンクシーは自身の作品の商標権を争う訴訟でいくつか負けているからだ。2022年は10月まで作品を1つも発表しなかったのは、おそらく、この会社との裁判が影響しているのかも知れない。

このGUESSとの問題についてさらに知りたいという方はこちら。バンクシー GUESSに激怒し インスタでファンに万引きを要請?

1000万円以上する新作をたった85万円で販売!

最後に12月9日、自身の公式インスタに2022年最後の投稿を公開。この投稿でウクライナ支援のために直筆サイン入り、限定50枚の作品を抽選発売することを発表。実際の作品が上の画像の作品。

この作品ではFRAGILE=壊れものと書いたダンボールから滑り落ちるネズミが描かれている。ちなみに白いネズミは実験用に使われる代表的な動物だ。そして、インスタの投稿のコメント欄には抽選販売への参加方法が書かれていた。

実際の内容がこちら。

限定50枚のシルクスクリーン作品を作りました。収益の全てはウクライナの友人たちに寄付します。(興味のある方は)こちらのサイトをご訪問下さい。実際のバンクシー作品抽選販売のリンク先はこちらをクリック

通常、1000万円以上する作品がなぜたった85万円で...?そして、この作品の収益は具体的に誰の元に行くのか...? 詳しくはこちらの記事から。バンクシーの1000万円以上する新作が今なら85万円で買える?しかもウクライナ支援に?

2022年 バンクシーアート活動のまとめ

  • 11月11日、ウクライナの首都近郊で2022年最初の作品をボム。
  • 次に11月18日、ウクライナに残した合計7作品の制作動画を公開。
  • GUESSに激怒し、公式インスタでファンに万引きを要請。現在この投稿は削除済み。
  • 1000万円以上する作品をたった85万円で販売。売り上げは全てウクライナに支援。

2023年 バンクシー作品の価格はどうなるのか?

まずおさらいしておきたいのは、2022年世界経済や米国の株価が急落したこと。そして、2021年後半〜2022年にバンクシー作品の価格が大幅に調整したこと。ここ1〜2年の傾向としては、世界経済の動きとバンクシー作品の価格は似たような動きになっている。しかし、もちろんバンクシーの人気が落ちたというわけではない。

こういった状況を踏まえた上で、2023年のバンクシー作品の価格を予想して行こうと思う。

オリジナル作品の価格について

まずは、去年の予想通り、2022年に過去最高額を更新するオリジナル作品の落札はなかった。しかし、2022年3月にサザビーズ香港のオークションで出品された人気の「Love is in the Air」だけは約8.5億円で落札。そして、高額落札額ランキング9位にランクインした。2022年で目立ったオリジナル作品はこれだけだった。

2023年も人気作品が出品されない限りは、オリジナル作品の市場が盛り上がる可能性は低いだろう。

*オリジナル作品とはキャンバス作品などバンクシーが自らの手で制作した作品のこと。

エディション作品の価格について

2022年のエディション作品の価格は世界経済や米国の株価と似た動きをした。さらに、過去40年最高のインフレで資金繰りに困ったせいか、作品をなるべく早く現金化しようとするコレクターが増えた。

なので、2023年も株価の低迷、高インフレが続けば、バンクシー作品の価格の低迷が続くだろう。そして、資金繰りに困ったコレクターが出てこれば、作品がボーナス価格で買える状態が続くだろう。

*エディション作品とはPest Control(ペストコントロール)の発効するCOAが付属した、シルクスクリーン印刷、限定枚数で販売されたペーパー作品のこと。

2023年、24年はバンクシー作品購入のチャンス? 

今年前半で世界経済が回復することは考えにくい。しかし、2023年後半から米国経済が回復し始めると予想する専門家も多い。ということは、バンクシーの作品価格の底値も近く、価格が再上昇する可能性は高い。

もちろん、世界経済がいつ回復するかは誰にもわからない。そして、バンクシー作品の価格がまたいつ上昇し始めるかも誰にもわからない。でも、世界経済とバンクシー作品の価格が連動しているなら、そろそろ底値が近く。作品価格が低迷している今こそ、買い時と考えてもおかしくないだろう。

頭と尻尾はくれてやれ

「頭と尻尾はくれてやれ」という有名な相場格言がある。これは投資家はみな「最安値で買い、最高値で売りたい」もの。しかし、「底値で買って天井で売ることはほぼ不可能で失敗しがち、買うときも売るときも上下は少し残したほうがいい」という考えだ。

世界経済、米国株の底がいつになるかはわからない。そして、バンクシー作品価格の調整の底値がいつ来るかもわからない。さらに、いつどの作品が市場に出てくるかもわからない。

2023年、24年に世界経済が回復し始めるなら... そして、頭と尻尾をくれてやるなら、2023年、24年はバンクシー作品の買い時になるかも知れない。

最後に

「ここまで作品価格のことを語っておいてなんやねん」と思われるかもしれない。が、最後に伝えたいのは「アートは本来、飾って楽しむものであり、投資商品として見ること」は絶対にオススメしない。

なぜなら「投資的な作品価値」や「作品価格の上下」ばかりに気が入ってしまい、アート作品を飾ることによって得られる「心の豊かさ」や「自由な発想」「ものの見方の訓練」など、金銭的な価値では測れないプライスレスな時間や豊かな体験を得る機会を失ってしまうからだ。

この記事の予想は今後、欲しいバンクシー作品が見つかり、その作品が買える時に、「なるべくお得に買うため」の参考程度に見てもらいたいと思っている。

いつもの繰り返しになるが、バンクシー作品は「欲しい作品が買える価格で見つかった時」に買うのが一番だ!

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