バンクシー作品の価格予想と推移

2021年 バンクシー作品の価格予想!2021年以降 Banksy作品はどうなるのか?

2020年はBanksy(バンクシー)の作品を購入したいと思う人にとって大きな一年になった。

なぜ、2020年が大きな一年だったのか?そして、2021年以降、バンクシー作品はどうなっていくのか?

2020年に起こった出来事を振り返りながら、2021年を予想していこう。

コロナ禍でもどんどん新作を発表

2020年の1〜2月頃から世界中でコロナが広がり始め、マスク着用がニューノーマル・普通になり、世界中の生活様式や考え方がこれまでと180度変わった。

バンクシーはどんな政治的なニュースや事件でも自分の作品と絡めて、世界の注目を集めることができる。

例えば、2020年5月、上の画像のように新型コロナと闘うイギリスの病院の看護師や医療従事者を称え、作品を寄付したり。

ロンドン地下鉄に残したコロナ禍のネズミ

2020年7月13日、英国政府はロンドンを含むイングランド地方で同年7月24日から買い物中にマスク着用を義務付けることを発表した。

その後、バンクシーはロンドンの地下鉄の車両にコロナ禍のネズミを描きまくった。

詳しくは、バンクシーコロナ禍のネズミを描いた最新作をロンドン地下鉄にボム!

などなど、コロナの逆風を追い風に変え、公式インスタグラムを通して、新しい作品を発表し続けた。

コロナ禍でも公式インスタグラムのフォロワーが1000万人を突破!

バンクシーの公式インスタグラムのフォロワーは3〜4年前までは、100〜200万人台くらいだったが、2020年に入ってフォロワー数が激増し、2020年7月に1000万人を突破。

2021年1月現在のフォロワー数は1060万人以上。

これまでのアートの歴史の中でたった1人のアーティストがギャラリーや大手メディア、有名オークションハウスを介さずに1000万人以上にリーチできることがあっただろうか。

インスタグラムのフォロワー数だけをみても、バンクシーがアートの歴史上初の影響力を持ったことは明らかだろう。

詳しくは→バンクシー公式インスタグラムのフォロワーが1000万人を突破 – BANKSYはアートの歴史を変えるのか?

2020年、高額落札作品ベスト5がガラリと変わる

2019年10月に約13億円の史上最高額で落札されたサルの英国会を描いた「Devolved Parliament」は有名だが、2020年も多くのバンクシー作品が億を越える金額で落札され、ベスト5がガラリと入れ替わった。

2021年1月現在のBanksy(バンクシー)高額作品ランキング ベスト10を知りたい方はこちら

ちなみに、約13億円で落札されたチンパンジーの英議会「Devolved Parliament」はトップの座を奪われていない。

2位以降で新たにベスト5にランクインしたのがこちらの作品だ。

2位にランクイン - Show Me the Monet 2005

2020年10月21日にサザビーズ ・ロンドンに出品された「Show Me the Monet」は、予想落札額300万〜500万ポンドに対して、755万1600ポンド・日本円にして10億円越えの高額で落札された。2021年1月現在、バンクシー作品の歴代高額ランキングは2位。

「Show Me the Monet」の詳細はこちら→バンクシーモネのオマージュ作品が10億円越えで落札。歴代落札額トップ2位にランクイン!

3位にランクイン - Forgive Us Our Trespassing 2011

2020年10月6日に香港で開催されたサザビーズ・イブニングセールに出品された「Forgive Us Our Trespassing」は、予想落札価格が£1,600,000〜£3,200,000(約2.24億円〜4.48億円)のところ、£6,400,000(約8億9600万円)で落札。

2021年1月現在、この作品はベスト3位。

4位にランクイン - Mediterranean Sea View 2017

「Mediterranean Sea View 2017」は、2020年7月28日のロンドン・サザビーズオークションに出品。

予想落札額が約1.1億円〜1.66億円(£800,000〜£1,200,000)に対して、約3億円(£2,235,000)で落札。なんと、最低予想落札額の約3倍にもなる。

2021年1月現在、こちらの作品は高額作品ランキングベスト4位にランクインしている。

以上、2020年はベスト2、3、4位に新しい作品がランクインした。

バンクシーのエディション作品価格が爆上げ!

*ここでいうエディション作品とは、Pest Control(ペストコントロール)の発効するCOAが付属した、限定枚数でシルクスクリーン印刷のペーパー作品のこと。

これまで、緩やかに上がってきていたバンクシーのエディション作品の価格が2020年に入って爆上げ。

特にサインなし・エディション番号のみ(unsigned)の作品の上昇率が顕著だった。

ここでいくつか例を挙げてみよう。

Love is in the Air Unsigned

上の画像の「Love is in the Air」は「バンクシー展 天才か反逆者か」大阪に展示されていたもの。

過去の数字を調べてみると、2020年1月に市場に出ていた「Love is in the Air」の価格は3万7000ポンドで、2020年9月18日に開催された英・サザビーズのオークションで落札された「Love is in the Air」は22万9500ポンドだった。

関税や送料を考慮せずに、単純にこの2つの価格を比較すると、たった8ヶ月の間で6.2倍も価格が上昇した。

1ポンド140円で計算すると518万円がたった8ヶ月で3213万円まで値上がりしたことになる。

Girl with Balloon Unsigned

この「Girl with Balloon」の画像は「バンクシー展 天才か反逆者か 大阪」で撮影したもの。

こちらも過去の履歴を調べてみると、2019年12月にボナムズで開催されたオークションで8万7562ポンドで落札されたが、2020年12月に同じボナムズで開催されたオークションで32万1600ポンドで落札された。

「Girl with Balloon」はたった1年の間に3.67倍の上昇。

1ポンド140円で単純計算すると、4502万4000円(32万1600ポンド)ー1225万8680円(8万7562ポンド)=3276万5420円で、たった一年の間に3276万円も上昇した。

Flag Unsigned

Flagは他の作品に比べると限定1000枚と枚数が多いこともあり、バンクシー作品の中では最もお求めやすい作品の1つだ。

硫黄島の戦いが作品のベースになっていて、少し離れて見てみると日の丸が浮かび上がるようなデザインから日本ではかなり人気がある作品だ。

このブログ(The Art of Banksy JP)経由でも2020年だけでかなりの枚数を販売したので、Flagについては実際に販売した金額ベースで比較してみよう。

2020年4月に販売した「Flag」は169万円で、2020年10月には600万円で販売しているので、たった6ヶ月の間で約3.5倍、金額にして431万円も急騰している。

2021年1月時点での現行価格は700万円〜800万円台になっている。

これまでの内容をまとめると....

バンクシー作品の価格は過去5〜6年の間じわじわ右肩上がりに上昇してきた。

しかし、2020年にコロナが世界で蔓延し世界各地でロックダウン(都市封鎖)が発動されると、一気にオリジナル作品+エディション作品の価格が急騰した。

2020年バンクシー作品価格が高騰した理由は、

・コロナ禍で世界的にお家で時間を過ごす人が増え、アート作品全般への評価が高まったこと。

・コロナ禍で経済活動がストップ→世界各国の中央銀行が金融緩和→アメリカを中心に世界的に株価が高騰したことで現代アートコレクターの資産が増え、その資金がバンクシー作品全般に流れた。

・2020年日本初大型バンクシー展「バンクシー展 天才か反逆者か」が横浜を皮切りに開催されたことで、日本でのバンクシー作品の収集熱が本格的に高まったこと。

*バンクシー作品の専門家には、日本人が本気でバンクシー作品の市場に参入したことで、市場価格が高騰したという人もいる。

などが、去年バンクシー作品価格が高騰した主な理由だと個人的に考えている。

2021年以降のバンクシー作品価格はどうなるのか?

2021年1月現在も世界の国々ではロックダウン(都市封鎖)が続いている。

2021年に3度目、4度目のロックダウンになったからといって、既にコロナがある環境に慣れたしまった僕らが、2020年ほどのインパクトでアート作品に対する評価や見方が変わることは少し考えにくい。

2021年は緩やかに価格が上がっていく...

総合すると、2020年ほどの強烈なインパクトはないが、今後バンクシーのオリジナル作品がオークションで高額で落札され、高額落札額ランキングが入れ替わるたびに、他の作品もつられて価格が少し上がっていく可能性は高い。

なので、2021年のバンクシー作品の価格は引き続き緩やかに上昇していくと予想している。

2021年はサイン入り作品が....

2020年はエディション番号のみ(Unsigned)の価格上昇が激しかった。

一方で、サイン入り(Signed)作品の価格上昇はエディション番号のみ(Unsigned)の価格上昇と比べると比較的緩やかだった。

2021年はサイン入り作品にはまだ価格の伸び代があり、サイン入り作品の価格の方が少し上がりやすいかもしれない。

なので、これまでと同じく2021年も引き続き「欲しい作品がある場合は」なるべく早く購入することをオススメする。

P.S.どうなったら、バンクシー作品の価格は下がる?

「毎年毎年バンクシー作品の価格は上がる!上がる!」と、そればっかりで芸がない...と思っている方もいるかも知れない。

なので、「万が一バンクシー作品の価格が下がる」場合があるなら、それはどんな時か少しだけ考えてみよう。

バンクシーの奇才さ、SNSを駆使した唯一無二のスタイル、次々に溢れ出すアイディアや類まれな才能を考えると、バンクシーの人気が落ちることはかなり考えにくい。

となると考えられるのは、バンクシー作品の価格を押し上げる富裕層のコレクター達の懐事情が悪くなった場合なら、バンクシー作品の価格が一時的に下がってもおかしくはない。

可能性はかなり低いと思うが、例えば、既存の金融システムが崩壊したり、社会全体に関係する未曾有の経済危機が起こった場合には流石に一時的にバンクシー作品を求める人が減り、価格は下がるかも知れない。

長期的に心配の必要はない...

しかし、やはりバンクシーの人気が落ちることは考えにくいので、5−10年というスパンで見ると、世界経済が普通の状態に戻った時に、バンクシー作品の価格は安定して上がっていくと考えるのが自然だろう。

長期的なスパンで見れば、一時的な価格下落は心配する必要はあまりない。

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