21世紀のアートの歴史において、おそらく最も衝撃的な事件となったバンクシーのシュレッダー事件をご存知だろうか。
2018年10月に開催されたサザビーズ・ロンドンのオークションでバンクシーの代表作「Girl with Balloon」こと「風船と少女 」が落札直後、額装に内蔵されたシュレッダーで細かく切られたあの事件のことだ。
あの事件について知らない方はこちら→えっ!まじで? バンクシー「Girl with Balloon」1億5千万円で落札直後、シュレッダーに??
オークション最中に自分が落札した作品「Girl with Balloon」の半分がシュレッダーで切られて「Love is in the Bin」に変わってしまったことは作品の落札者にとってはショックと喜びが入り乱れた不思議な気持ちだっただろう。
あれからちょうど3年
あれからちょうど3年目の2021年10月、前回と同じオークションハウスのサザビーズ・ロンドンでこの「Love is in the Bin 」が出品される。
今の所、予想落札価格は400万ポンド〜600万ポンド、日本にすると、約6億円〜9億円になっている。
通常オークションハウスは、注目の作品に関しては盛り上がりを演出するため、実際に落札されそうな価格よりもかなり低めの予想価格を設定することが多く、今回の予想価格も控えめに設定されているので、最終的な落札価格は予想落札価格を大幅に越えてくる可能性は高い。
過去最高額25億円の「Game Changer」はまぐれ?
これまで、バンクシー作品の中で史上最高額で落札されたのは、2021年5月23日に開催されたクリスティーズのオークションで落札された「Game Changer」で、価格は1675万8000ポンド、日本円にするとおよそ25億円になる。
「作品が発表されたコロナ禍という時期」+「コロナ禍で奮闘するナースを称えた作品」の話題性は抜群だと思うが、作品としては、史上最高額に見合う絵面ではないと個人的に思う。
作品の落札額はすべて、この作品が寄付されたサウサンプトン総合病院とイギリスの国民健康保険(NHS)の関連団体に寄付されるというチャリティー的要素が史上最高額という結果に繋がったのかもしれない。
アートの歴史にはいくらの価値が付くのか?
こちらはバンクシーの公式インスタグラムで公開された「シュレッダービリビリ事件」の一部始終を紹介した動画だ。
アート好きのみならず、アートに興味がまったくない世界中の人を驚かせた、まさに「アートの歴史の1ページに刻まれた」といっても過言ではない、この歴史的作品にいくらの価値がつくのだろうか?
史上最高額で得られる効果どんだけ〜
「Love is in the Bin」こと「愛はゴミ箱の中に」を史上最高額の25億円以上で落札したらどうなるのだろうか?
まず、日本を含め、世界中のメディアからの取材が殺到するだろうし、現存するアーティストの中で最も熱いバンクシーの史上最高額の作品を所有していることで得られる評判は凄い。
2017年 前澤氏が123億円で落札したバスキアが良い例
2017年にZOZOの前澤友作氏がバスキアの作品を123億円で落札した時のことを思い出すとわかりやすいかも知れない。
当時、前澤氏は世界中の色んなメディアでも取り上げられ、日本のメディアでの取り上げ方も凄く、まさに時の人のような感じになっていた。
もしこの「Love is in the Bin」をどこかに展示すれば、ルーブル美術館でいうモナリザのような「この歴史的作品を一度見たい」という人がもの凄く多くなるだろうし、この作品をバンクシー展に展示すれば、それだけで集客効果も計り知れないので、史上最高額でこの作品を落札する人がいてもおかしくはない。
「Love is in the Bin」は史上最高額で落札されるのか
バンクシーの「Love is in the Bin」は史上最高額で落札されるのか...それとも、されないのか...
どちらにせよ2021年10月14日に開催されるサザビーズ・ロンドンのオークションが楽しみだ。また落札結果がどうだったかはこのブログで紹介しようと思う。
P.S.2018年10月に「Love is in the Bin」が誕生して以降、バンクシー作品に本気で興味を持ち始める現代アートコレクターが大量に増えた。
2019年10月14日にサルの英議会こと「Devolved Parliament」が約13億円の当時の過去最高額で落札されて以降、バンクシーのシルクスクリーン作品価格も大幅に上昇したので、今回のオークションの結果が他のバンクシー作品にどう影響するかも注目していきたい。